動脈硬化
高血圧について
高血圧は、長い時間をかけて動脈硬化を進行させるとても怖い病気です。狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・腎不全などの原因となります。
高血圧の基準
高血圧の診断基準は、上は140以上、下は90以上です。
また、家庭血圧の基準値はより低く、135/85以上であれば高血圧になります。
120/80未満が、循環器病のリスクが最も低い最適な血圧です。
高血圧の基本的な治療法
生活習慣の修正は、高血圧の基本的な治療法としてとても重要です。
- 減塩 1日の摂取:6g 未満
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食塩以外の栄養素
・野菜や果物の積極的摂取
・コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える
・魚(魚脂)の積極的摂取
- 減量 BMI(体重[kg]÷ 身長[m]2乗)<25未満
- 運動 ※心血管病のない高血圧患者が対象
中等度の有酸素運動を中心に定期的に(毎日30分以上)行う。
- 節酒 エタノールで、男性20~30ml/日以下、女性10~20ml/日以下
- 禁煙
当院では高血圧の有無を調べ、本態性高血圧か2次性高血圧かの診断も行います。
2次性高血圧とは副腎腫瘍、腎動脈狭窄症などが背景にある高血圧のことで、降圧剤治療のみでは完治しません。その他、高血圧による悪い影響(臓器障害)や心臓血管系合併症は出ていないかを検査します。
胸部レントゲン検査/心電図検査/心臓超音波検査(心エコー)/頸動脈超音波検査(頸動脈エコー)/採血/尿検査によって、他の危険因子をどの程度もっているかを調べます。
速やかに降圧しなければ臓器障害が進行するリスクが高い方は、食事運動療法と同時に薬物療法を開始します。
高脂血症について
高脂血症とは、血液中の脂質成分が異常値になっている状態を指します。
高コレステロール血症・高脂血症・脂質異常症の3つに分類され、現在は「脂質異常症」と呼ぶようになっています。
脂質異常症は血液中にのコレステロール・中性脂肪などがが多すぎる状態で、中でも
- 悪玉(LDL)コレステロールが多すぎる。
- 中性脂肪が多すぎる。
- 善玉(HDL)コレステロールが少なすぎる。
などの状態を示します。
脂質異常症の診断基準
※ 空腹時採血
高LDLコレステロール血症 LDLコレステロール → 140mg/dL以上
低HDLコレステロール血症 HDLコレステロール → 40mg/dL未満
高トリグリセライド血症 中性脂肪(トリグリセライド)→ 150mg/dL以上
脂質異常症の治療
食事療法
- コレステロール摂取量は1日300mg以下を目指しましょう。
- 動物性の脂肪を減らし、魚や植物性の脂を多くしましょう。
- アルコールは控えめにしましょう。
→ 1日25g以下に。ビール中瓶1本、日本酒180ml、焼酎100ml程度、ワイン100ml程度。
- 食物繊維を多くとりましょう。
→ 食物繊維はコレステロールの吸収を抑えます。
- 魚、大豆製品を多くとりましょう。
- 清涼飲料水や菓子類などの過剰摂取は控えましょう。
- マーガリン、ショートニング(食用加工油脂の一種)、菓子類に含まれる悪い脂(トランス型不飽和脂肪酸)の過剰摂取は控えましょう。
個人差はありますが、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取量が多いとコレステロール値が高くなり、動脈硬化の進行を早めます。
例:コレステロール値が高くなる食材
卵類(鶏卵や魚卵)、内臓類(レバーやモツ),肉類の脂身や鶏肉の皮、ラード、バター、乳脂肪、ココナッツミルクなど
運動療法
毎日何らかの形で、体を動かすことは、身体的にも精神的にも好ましいことがはっきりしています。脂質に対しては、中性脂肪が低下し、HDLコレステロールは上昇します。また、
- 血圧を低下させる。
- 糖尿病の血糖コントロールが良好になる。
- うつ病の予防につながる。
- がん予防、動脈硬化の予防につながる。
など、さまざまな良い効果が期待できます。
最適な運動は有酸素運動です。
1日30分程度(1週間合計180分以上)、毎日行うのが理想的です。
運動の強さは、心拍数110~120/分程度を目安に、ちょっときついけど続けられる、と感じる程度です。無理のない程度にやってみましょう!